抄録
近年,免疫チェックポイント阻害療法はセンセーショナルな成功をおさめつつあるが決して万能ではない.現在の抗PD-1/PD-L1抗体や抗CTLA-4抗体による治療の有効率は殆どのがん種で10-30%程度であり,今後は免疫チェックポイント阻害療法抵抗性がんの治療法の開発が喫緊の課題である.
がん特異的なT細胞の体内誘導がうまく起こっていないがん患者では,免疫チェックポイント阻害療法が効かない可能性が高い.したがって,がん特異的なT細胞を体外で人為的に大量に作製して患者に輸注する遺伝子改変T細胞の輸注療法は,免疫チェックポイント阻害療法抵抗性のがんに有効である可能性が高い.
本稿では遺伝子改変T細胞療法開発の現状を概観し,今後の課題と進むべき方向性について考察する.