抄録
自然災害による被災地域の復旧・復興に向け,被災前の社会状況に回復するために必要となる資材投入量の把握や,効率的な災害廃棄物の処理計画が求められる.本研究では,空間・属性詳細なマイクロ建物データと,災害被害分布情報との重ね合わせにより「失った建築物ストック」を推計する手法の構築を目的とする.マイクロ建物データの建物情報より建築物ストック量の空間分布を推計し,それに平成28年熊本地震の計測震度分布による建物倒壊判定を行い推計した.その結果,熊本県における建築物ストックの約6割が震度6弱以上の強振動域に分布しており,全壊棟数の推計結果は被害調査報告に近しい値となることが示された.また,地震動による建物被害により260.7万トンの失った建築物ストックが発生し,その半分がコンクリートであることが明らかになった.