抄録
アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎および喘息などのアレルギー性炎症や免疫応答の際にみられる白血球やリンパ球の組織への遊走・浸潤は,ケモカインと呼ばれるサイトカインの一群により制御されている.ケモカインとその受容体の相互作用を阻害することは,アレルギー性疾患をはじめとした異常免疫応答に有効な治療効果が期待できることから,創薬ターゲットとして注目されている.最近,和漢薬ライブラリーを用いた網羅的探索により,マオウ(麻黄,Ephedra herb)がCCケモカイン受容体(CCR)3,CCR4およびCCR8に対するトリプルアンタゴニスト活性を有することが報告されたので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Matsuo K. et al., Front. Cell Dev. Biol., online 7 Jun. 2016, doi : 10.3389/fcell.2016.00054.
2) Zlotnik A., Yoshie O., Immunity, 36, 705-716 (2012).
3) Ma C. H. et al., Chin. J. Nat. Med., 12, 361-366 (2014).