2018 年 21 巻 3 号 p. 478-487
目的:医療ソーシャルワーカー(MSW)介入の必要性を評価するために当院で使用しているソーシャルハイリスク(SHR)シートを解析し,MSW介入に影響する要因を明らかにする。方法:平成26年7月1日〜10月31日に当救命救急センターに入院した患者を対象とした。患者基本情報6項目,SHRシート9項目(SHR要因),入院原因8項目,以上の各項目とMSW介入の関連を検討した。統計手法にはロジスティック回帰分析を用いた。結果:189名の患者情報が調査された。MSW介入があった患者の62%では,何らかのSHR要因が認められた。入院日数7日以上,転院,意思決定能力が低い,転倒,の4項目がMSW介入と有意に関連した。結論:上記の4因子は,救急医療におけるMSW介入要因である可能性が示唆された。またSHRシートはMSW介入の必要性を抽出するために有用であるが,本研究結果を踏まえたさらなる改良が課題である。