ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
失活しない強酸-塩基ペアによるカルボニル化合物の不斉α-アミノ化
吉田 圭佑
著者情報
キーワード: アミノ化, FLP触媒, 不斉反応
ジャーナル フリー

2017 年 53 巻 11 号 p. 1111

詳細
抄録

近年,系内での求核剤生成を伴うカルボニル化合物の触媒的エナンチオ選択的直接α-アミノ化反応が注目されている.その戦略の1つとして,ルイス酸とブレンステッド塩基の共触媒系を利用する方法があるが,酸-塩基反応による触媒の失活が重大な問題となる.一方,この問題を解決する1つの手立てとして,フラストレイテッド・ルイスペア(FLP)の利用,すなわち「お互いの立体障害のために失活しないルイス酸・ルイス塩基ペア」による反応系が開発されつつある(図1a).しかし,FLP触媒系を適用できる反応は少なく,エナンチオ選択的反応への適用例はほとんどない.本トピックスでは,光学活性FLP触媒系によるカルボニル化合物のエナンチオ選択的直接α-アミノ化の初めての報告例を取り上げる.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Stephan D. W., Erker G., Angew. Chem. Int. Ed., 54, 6400–6411(2015).
2) Shang M. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 95–98(2017).

著者関連情報
© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top