ファルマシア
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53 巻 , 11 号
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目次
  • 2017 年 53 巻 11 号 p. 1050-1051
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    特集:マイクロバイオータ研究の最前線
    特集にあたって:マイクロバイオータは腸内などでヒトと共生している膨大な数の微生物の総称である.近年の世界的な大規模プロジェクトによる解析から,マイクロバイオータの代謝調節や免疫制御などの生理機能への貢献のほか,種々の疾患との関連性も明らかにされつつある.本特集号では,マイクロバイオータが関わっている生理的機能や疾患について第一線で活躍する先生方に解説頂くとともに,企業・国内コンソーシアムの活動,また,創薬応用の可能性についても解説頂いた.なお,マイクロバイオータは,ある環境中,例えば,腸内,皮膚,口腔内などの生体に生息している微生物群の総称であり,マイクロバイオームは,それらの微生物群(マイクロバイオータ)が持つゲノム情報の総体を指す用語である.
    表紙の説明:本特集号ではヒトと共生する微生物群(Microbiota),特に腸内細菌の働きについて幅広く紹介頂いた.諸説あるが,ヒトでは腸内細菌が数万種類,100兆~1000兆個が生息すると言われている.人体の細胞総数は60兆個であり,これよりも遥かに多い数の腸内細菌が活躍していることになる.本表紙では,腸内でMicrobiotaが活躍する姿を表現した.
    お詫び:2017年10月1日発行のファルマシア53巻10号におきまして,表紙説明の内容と異なる掛け軸が掲載されました.右が正しい表紙となります.正しい表紙はJ-STAGE上でも閲覧いただけます.会員の皆様には大変なご迷惑をお掛け致しました.訂正して深くお詫び申し上げます.
オピニオン
  • 服部 正平
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1049
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    人体には数百種・数百兆個の細菌が生息し、これらは“常在菌”と称され、一過的に感染症を引き起こす“病菌菌”とは区別される。その住処は口腔、胃、腸、皮膚など全身におよび、それぞれ異なった菌種や組成からなる固有の細菌叢が形成されている。常在菌の存在は19世紀末のコッホ・パスツールの時代から知られていたが、系統的な研究は50年ほど前からである。さらに、その約50年後の現在、常在菌叢は“マイクロバイオーム”と呼称され、ヒトの健康と病気を理解する上での必須な生命科学の一大研究分野に豹変した。この背景には大きな技術革新がある。従来の個々の菌の培養から全体像にせまるボトムアップ戦略に代わり、今日では、次世代シークエンサーと情報・統計学を用いたメタゲノム解析法により全体像を精密に把握するトップダウン戦略が確立されている。この戦略はヒトゲノム計画と同様であり、入手される大量の細菌データは、将来の様々な細菌叢研究の基盤となる。さらにこの分野が重要視されている理由として、様々な全身的な疾患と腸内細菌叢の構造異常(dysbiosis)の高い関連性がある。くわえて、この異常は疾患の要因であることが明らかとなってきたことである。またその反対として、健常者の糞便(腸内細菌叢)がある種の疾患を治療できる便微生物移植法が示された。すなわち、腸内細菌叢には健康と疾患にそれぞれ正と負に関与する菌種が存在し、これらの菌種の特定は新たな予防法と治療法の開発につながる。
Editor's Eye
セミナー
セミナー
セミナー
  • 大谷 直子
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1069-1072
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    宿主であるヒトと腸内細菌叢はお互い共生関係にある。しかし、ひとたびそのバランスが崩れると、がんなど様々な疾患発症に寄与することもある。筆者らは肥満に伴い増加するグラム陽性腸内細菌が、デオキシコール酸を産生し、腸肝循環等を介して、デオキシコール酸を肝臓に供給するだけでなく、その細胞壁成分のリポタイコ酸をも肝臓に供給し、肝星細胞を含む肝臓の組織微小環境を変え、肝がんの進展に寄与する可能性を示した。
最前線
  • 山下 智也, 平田 健一
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1073-1076
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    近年、疾患発症と腸内細菌叢との関連が調査され、代謝疾患・免疫疾患・悪性腫瘍などの分野の報告が相次いでいる。心血管病の分野では、腸内細菌由来代謝物のトリメチルアミンNオキシド(TMAO)が動脈硬化を悪化させ、心血管イベントの増加に関連すると報告され、循環器疾患の治療標的として注目されている。本稿では、動脈硬化をはじめ高血圧や心不全といった心血管病の病態と腸内細菌との関連について、世界的な研究の動向と我々のグループからの報告を紹介して、今後の展望を述べたい。
最前線
セミナー
セミナー
話題
  • 金 倫基
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1091-1094
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    ヒトの体に常在する微生物集団(マイクロバイオータ)は、代謝や免疫機能など、我々の健康や疾患に多大な影響を及ぼしている。特に腸内細菌叢に関しては、近年の解析技術の進歩によって、組成や代謝産物を含めた全容をより詳細に知ることができるようになった。その結果、腸内細菌叢がこれまで考えられていた以上に我々の生理機能と密接に関連していることが明らかになってきた。さらに、この共生体である腸内細菌叢を創薬ターゲットとする動きが活発になり、欧米では多くの製薬会社やバイオベンチャーが開発に乗りだしている。そこで本稿では腸内細菌叢の機能と創薬の可能性について最新の知見と筆者の考えを交えながら解説する。
話題
  • 坂田 恒昭, 松本 弥生
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1095-1097
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    ヒトの腸内には1,000種類以上,40兆個程度とも言われる細菌が存在しており,これは37兆2,000億個とされるヒト細胞数とほぼ同数である.また腸以外にも,皮膚や口腔,鼻腔,膣などの部位に,細菌や真菌,ウイルスなどの様々な微生物が存在しており,これらの集団はマイクロバイオータ(微生物叢)と呼ばれている.そして,マイクロバイオームとはヒト微生物叢(細菌叢,真菌叢およびウイルス叢)のゲノムと,それが発現する遺伝子群,および微生物叢とヒトの相互作用を含む広い概念を現している.この微生物叢がヒトの健康状態,病態に関係していると言われ,空前のマイクロバイオームブームが起こっている.このようななか,筆者らは,2016年から製薬企業を中心にアカデミアで生み出されたマイクロバイオームの研究成果をいかに産業界で応用し,社会還元する仕組みを構築するかの議論をし,2017年4月19日に日本マイクロバイオームコンソーシアム(Japan Microbiome Consortium:JMBC,以下「本法人」という)を設立した.
速報 話題
FYI(用語解説)
  • 大谷 直子
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1101_1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    細胞老化した細胞からは,様々な分泌タンパク質(炎症性サイトカイン,ケモカイン,細胞外マトリクス分解酵素などのプロテアーゼ類,増殖因子など)が産生されることが明らかになり,その現象は「細胞老化随伴分泌現象(senescence-associated secretory phenotype, SASP)」と呼ばれる.SASP因子はパラクライン的に自己以外の細胞に作用し,周囲の細胞の細胞老化を誘導したり,場合によっては増殖させたり,また免疫細胞を遊走させ,老化細胞のクリアランスに働くことが知られている.オートクライン的に働き,自己の細胞老化をより強化することも示されている.重要な生理作用として,組織の損傷治癒の際に一時的にSASPが誘導されることが示された.
  • 山下 智也, 平田 健一
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1101_2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    腸内細菌メタゲノム解析では,細菌の全ゲノム情報を解析し,どのような菌がどれくらい存在するかという情報以外に,どのような遺伝子をどれくらい持つかなども知ることができる.糞便などから抽出した全ゲノムDNAを,制限酵素などで物理的に切断し,切断された短いDNA鎖を,次世代シーケンサーを用いて無作為に配列の決定をする.そのDNA断片の配列の重なり部分をコンピュータ上でつなぎ合わせることで,連続した全ゲノムの遺伝子配列を決定するという方法である.ヒトゲノム計画でも,この方法を用いて解析された.コンピュータの計算処理能力の進歩とデータ処理方法の開発により,遺伝子配列が比較的容易に決定できるようになった.
  • 大島 健志朗, 西嶋 傑
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1101_3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    ヒトゲノム計画の後,ヒトゲノムを1,000ドルで解析する目的で開発されたシークエンシング技術をもとに作られたDNAシークエンサーである.機種によりシークエンシング原理も様々で,イルミナ社のHiseq,Miseq,サーモフィッシャー社のIon S5TM,PacBio社のRSⅡ,SequelTM,Oxford Nonopore社のMinIONなどがある.
  • 大島 健志朗, 西嶋 傑
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1101_4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    ゲノムDNAをランダムに断片化したものからNGSライブラリーを作成し,それをシークエンシングして配列情報を得た後,コンピュータ上で相同性のある配列領域をアライメントしてより長い配列へと再構築することをアセンブルという.アセンブルして得られたコンセンサス配列は,コンティグ配列と呼ばれる(付図1).
    ※付図1は,電子付録としてJ-STAGE上にてご覧になれます.
家庭薬物語
薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事
くすりの博物館をゆく
  • 池田 幸弘
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1106-1107
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    戸越銀座を歩き、星薬科大学へと向かう。正門を入ってすぐ右手の建物の1階に資料館があった。本資料館には、創立者星一ゆかりの資料を中心に、本学にかかわる多様な歴史資料が展示されている。星薬科大学の歴史を辿ると、明治44(1911)年、星製薬株式会社が創立された際、社内に設置された教育部に遡る。会社創立と同時に教育部門を設けることは珍しいと思われるが、これは、建学の精神である「世界に奉仕する人材育成の揺籃である」に由来するのであろう。この根底には、座右の銘である「親切第一」 -「親切第一を主義として、自己に親切なれ、何人にも親切なれ、物品に親切なれ、時間に親切なれ、学問に親切なれ、金銭に親切なれ、親切は平和なり、繁栄なり、向上なり、親切の前には敵なし、親切は世界を征服す」の信念が礎となっている。ちなみに、星薬科大学と聞くと、つい創立者の長男である作家星新一を頭に浮かべてしまうが、本名は親一で、この言葉から名づけられたという。さらに余談を述べると、次男は協力第一の銘から、協一と名づけられたらしい。
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
トピックス
  • 吉田 圭佑
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1111
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    近年,系内での求核剤生成を伴うカルボニル化合物の触媒的エナンチオ選択的直接α-アミノ化反応が注目されている.その戦略の1つとして,ルイス酸とブレンステッド塩基の共触媒系を利用する方法があるが,酸-塩基反応による触媒の失活が重大な問題となる.一方,この問題を解決する1つの手立てとして,フラストレイテッド・ルイスペア(FLP)の利用,すなわち「お互いの立体障害のために失活しないルイス酸・ルイス塩基ペア」による反応系が開発されつつある(図1a).しかし,FLP触媒系を適用できる反応は少なく,エナンチオ選択的反応への適用例はほとんどない.本トピックスでは,光学活性FLP触媒系によるカルボニル化合物のエナンチオ選択的直接α-アミノ化の初めての報告例を取り上げる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stephan D. W., Erker G., Angew. Chem. Int. Ed., 54, 6400–6411(2015).
    2) Shang M. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 95–98(2017).
  • 鏑木 洋介
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1112
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    薬剤による副作用を低減し薬効を最大化するために,狙った組織・細胞に薬剤を送達するドラッグデリバリーシステム(DDS)研究が活発に行われている.多くのDDSは特異的な細胞表面マーカーを認識し,細胞内に取り込まれた後に薬剤が放出されるように設計されているが,最近,Renouxらはそのような細胞表面マーカーの発現に依存せず,EPR効果(腫瘍血管の透過性亢進等により腫瘍組織に高分子薬剤が集積する効果)に基づき腫瘍微小環境を標的とするDDSにより,マウスモデルにおいて顕著な薬効増強効果を示すことを報告したので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Renoux B. et al., Chem. Sci., 8, 3427–3433(2017).
    2) Legigan T. et al., Eur. J. Med. Chem., 67, 75-80(2013).
    3) Legigan T. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 51, 11606-11610(2012).
  • 浅野 孝
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1113
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    微生物の中には「植物と共に生きる菌(植物共生菌)」が存在し,根粒菌や菌根菌などは農業応用研究が盛んに行われている.これら植物共生菌の中には,宿主植物と同じ二次代謝成分を生産するものが存在し,カンプトテシンやタキソールの生産菌は植物二次代謝成分の新たな供給源として注目を集めている.しかし,多くの菌は植物と比べて化合物生産性が乏しいのが難点である.今回,ラン科植物のDendrobium nobileを材料に,植物共生菌によるアルカロイド生産制御のメカニズムを明らかにしたLiらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Li Q. et al., Sci. Rep., Published online:22 March 2017 7, 316 doi:10.1038/s41598-017-00445-9(2017).
    2) Malhotra N. et al., Phytochemistry, 108, 26-34(2014).
  • 鈴木 直人
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1114
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    血液脳関門により脳への送達が制限される水溶性薬物の投与方法として,経鼻投与法が注目されている.経鼻投与における主な薬物の吸収部位は,鼻腔内の嗅粘膜と言われており,薬物が血液脳関門を回避し,鼻から脳に直接送達される経路(nose-to-brain:N2B)が存在する.しかしながら,生体防御機能の1つである粘膜繊毛クリアランスにより薬物などの異物は食道へ排除されるため,脳に到達する薬物は経鼻投与されたうちの1% にも満たない.そのため,製剤に粘膜付着剤を添加することにより,嗅粘膜における薬物の滞留性を向上し,水溶性薬物の脳への送達が改善できる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Michael I. U. et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 57, 1640-1665(2005).
    2) Sasi B. Y. et al., Carbohydr. Polym., 163, 216-226(2017).
    3) Jeffrey J. L. et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 64, 614-628(2012).
  • 酒井 伸也
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1115
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    ストレス環境下で生成したミスフォールドタンパク質は,多くの場合凝集体となり細胞内に蓄積する.タンパク質凝集体は細胞の恒常性維持の妨げになるため,オートファジーやプロテアソームによる分解によって処理されることが知られている.これまで酵母細胞では,熱ストレスで生成したタンパク質凝集体がミトコンドリアの表面に集積することが知られていたが,その細胞生理学的な意義は不明であった. 今回紹介する論文は,このタンパク質凝集体がミトコンドリアに取り込まれて分解されることを明らかにした.このタンパク質の品質管理システムを,Ruanらはmitochondria as guardian in cytosol(MAGIC)と名付けている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhou C. et al., Cell., 159, 530-542(2014).
    2) Ruan L. et al., Nature, 543, 443-446(2017).
    3) Neupert W. et al., Annu. Rev. Biochem., 76, 723-749(2007).
    4) Lin M. T. et al., Nature, 443, 787-795(2006).
  • 肱岡 雅宣
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1116
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    脳血管疾患は,我が国における死亡原因の第4位に位置する疾患であり,その中でも脳梗塞は60%以上の割合を占める.本疾患の症状として,虚血領域の脳機能に基づいた半身麻痺や言語障害等の特徴的な機能障害が発症することはもちろん,排尿困難に起因する尿路感染や肺炎等の合併症によって死に至ることもある.脳梗塞発症後には,末梢において免疫機能低下(CIDS)が起こることが報告されており,免疫を調節する神経系として視床下部-下垂体-副腎系(HPA axis)や交感神経系,副交感神経系が脳梗塞発症後に活性化することが確認されている.しかしながら,細胞性免疫と脳虚血との関連性は不明である.
    本稿では,脳内および末梢における細胞性免疫に対する脳虚血の影響を明らかにしたLiuらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Meisel C. et al., N. Engl. J. Med., 365, 2134-2136(2011).
    2) Meisel C. et al., Nat. Rev. Neurosci., 6, 775-786(2005).
    3) Liu Q. et al., Immunity, 46, 474-487(2017).
    4) Kalra L. et al., Lancet, 386, 1835-1844(2015).
  • 松田 俊
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1117
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    バイオマーカーを用いたがん種の正しい判別は,がん原発部位の特定や最適な治療法の選択に重要である.miRNAは発生,分化,増殖など多様な生体内プロセスで重要な役割を果たすこと,定量が比較的容易であることから,がん判別のための有力なバイオマーカー候補である.成熟miRNAは,1本の前駆体miRNAからdicerにより切断されて2本のarm(切断部位より5’および3’末端側)を生じ得るが,近年のRNAシーケンス技術の発達により,1つの成熟miRNA armにも5’(3’)側が1から数塩基付加された(削られた)複数のイソ型(isomiR)が存在することが明らかになった.典型的なmiRNAは数百の遺伝子を(多くは抑制的に)制御するが,細胞はisomiRとしてmiRNAにバリエーションを持たせることで,実にきめ細かく遺伝子発現パターンを制御して自身の機能や恒常性を維持していることが想像できる.
    本稿では,組織中isomiR発現の大規模データと機械学習をうまく組み合わせ,32種のがん種(表1)の判別に成功した研究について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Loher P. et al., Oncotarget, 5, 8790-8802(2014).
    2) Telinis A. et al., Nucleic. Acids Res., 45, 2973-2985(2017).
  • 向 祐志
    2017 年 53 巻 11 号 p. 1118
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    狭い治療濃度域を有する薬物や体内動態の個人差が大きい薬物では,therapeutic drug monitoring(TDM)が患者間の体内動態の違いを補正するために有用である.我が国におけるTDMは,特定薬剤治療管理料の算定対象薬物について実施されることが多く,一部の免疫抑制薬を除いて,血漿あるいは血清が薬物濃度測定用の検体として用いられている.
    近年,欧米を中心にdried blood spot(DBS)を検体とした薬物血中濃度測定法が盛んに報告されている.DBSによる検体採取には,1検体あたりの採取量が1滴の血液で済み,患者宅での採取が可能なため,医療コストを低減できる等の様々な利点がある.Linderらは抗てんかん薬のうち,カルバマゼピン(CBZ),ラモトリギン(LTG)およびバルプロ酸(VPA)では,DBS中濃度を血漿中濃度の代替指標として用いることができる可能性を示したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Evans C. et al., AAPS. J., 17, 292-300(2015).
    2) Martial L. C. et al., PLoS. One., 11, e0167433(2016).
    3) Li W., Tse F. L., Biomed Chromatogr., 24, 49-65(2010).
    4) Linder C. et al., Clin. Biochem., 50, 418-424(2017).
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