ファルマシア
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弱塩基性条件下でのハロゲン化アリールのフェノールへの変換
里 章平
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2017 年 53 巻 12 号 p. 1210

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抄録

フェノール類は,医農薬や機能性材料に含まれる化合物群であり,有用な合成中間体としても利用されている.合成法の1つとして,安価で入手容易なハロゲン化アリールを基質とした遷移金属触媒によるヒドロキシル化反応が注目されている.しかしこの手法では,強塩基性であるKOHやCsOHなどの使用が必須であり,塩基に不安定な基質の適用は困難であった.また,同一分子内に存在するアミノ基やヒドロキシル基が反応してしまうため,求核性官能基の保護が必要であった.メルク社のFierやMaloneyは,弱塩基性条件下,ベンズアルドキシム2を水酸化物の代替物として用いて,ハロゲン化アリールをPd触媒的にフェノール類へ変換する官能基許容性の高い手法を開発したので,本稿にて紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Fier P. S., Maloney K. M., Angew. Chem. Int. Ed., 56, 4478-4482(2017).

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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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