ファルマシア
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メタボローム解析を利用した効率的な標的指標型天然物化学
吉冨 太一
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2017 年 53 巻 4 号 p. 360

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抄録

近年,遺伝子やタンパク質などを網羅的に解析し,有用情報を導き出す「オミクス」が注目を集めている.なかでも代謝成分に着目したメタボローム解析は,分析機器やコンピュータの飛躍的な発展に伴い,比較的容易に利用可能となってきた. この解析は,遺伝子やタンパク質などの高分子化合物を除く,低分子化合物から中程度の分子量の化合物にその主眼を置く.そのため,生物の代謝物を解析するだけでなく,食品や生薬のプロファイリングによる品質評価や薬物投与後の影響の解析など創薬研究への応用も進んでいる.こうした一連の流れは,今回紹介する天然物化学の分野でも取り入れられ,強力な探索ツールになろうとしている.その一例として,Olsenらによって報告された海洋天然物からの新規化合物発見に関する話題を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Olsen E. K. et al., J. Nat. Prod., 79, 1285-1291(2016).
2) Hedner E. et al., J. Nat. Prod., 71, 330-333(2008).

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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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