ニューロキニン1(neurokinin 1:NK
1)受容体は,タキキニンペプチドの1つであるサブスタンスPと高い親和性を有するGタンパク質共役型受容体である.中枢のみならず末梢にも存在し,サブスタンスPとの結合により様々な情報伝達系を活性化し,複数のイオンチャネルを修飾して疼痛,神経原性炎症,情動等の広範囲な生理機能と疾患病態に関与している.がん薬物療法に伴う悪心・嘔吐(chemotherapy induced nausea and vomiting:CINV)の中でも抗がん薬投与後24時間以降に発現する遅発性嘔吐は,孤束核や腸管の迷走神経終末にあるNK
1受容体へのサブスタンスPの結合により発現することから,NK
1受容体拮抗薬にて,制吐効果が得られる.現在,我が国で承認されているNK
1受容体拮抗薬には,アプレピタントとそのリン酸化プロドラッグのホスアプレピタントがある.
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