ファルマシア
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有用アルカロイドを産生する植物細胞の効率的な解析方法
坂元 政一
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2017 年 53 巻 5 号 p. 468

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抄録

植物は環境の様々な脅威から身を守るため特有の代謝を有する.その代謝産物,特に二次代謝産物は,医薬品,着色料,香料・芳香剤などへの応用価値が高いものの,それらの利用は産生量が低いことや,入手が困難である場合が多く伸び悩んでいる.植物の二次代謝産物の生合成経路の解析は,植物組織に分布する細胞の種類ごとに担う役割が異なるため複雑である.そのため,効率的な細胞区画の単離およびオミクス解析による特徴付けは生合成経路の全容解明,更には代謝産物の活用に大きく貢献する可能性を秘めている.
これまで蛍光活性化セルソーティング(FACS)を利用した植物における細胞の単離は,モデル植物のシロイヌナズナ由来のプロトプラストに限られていた. しかし最近,Carqueijeiroらはニチニチソウ(Catharanthus roseus)のテルペンインドールアルカロイド(TIA)の持つ自家蛍光に着目し,FACSを用いてオミクス解析に利用可能な良質な細胞の単離に成功したので本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Birnbaum K. et al., Nat. Methods, 2, 615–619(2005).
2) Carqueijeiro I. et al., Plant Physiol., 171,2371–2378(2016).
3) Murata J. et al., Plant J., 44, 581–594 (2005).

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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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