抄録
標的タンパク質と共有結合する「共有結合型阻害剤」は,低濃度で強力に作用する.しかし,非特異的な結合形成がしばしば問題となり,重篤な副作用も生じやすい.極めて高い標的選択性を付与できれば,優れた解析ツールや創薬候補となり得る.本稿では,標的タンパク質のみ選択的に共有結合を形成する阻害剤について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Zhang T. et al., Nat. Chem. biol., 12, 876–884(2016).
2) Kwiatkowski N. et al., Nature, 511, 616–620(2014).
3) Bösken C. A. et al., Nat. Commun., 5, 3505(2014).
4) Greifenberg A. K. et al., Cell Rep., 14, 320–331(2016).