2017 年 53 巻 7 号 p. 702_4
ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)およびうつ病評価尺度(HAM-D)は,不安神経症ならびにうつ病の様々な症状を評価するために1959年と1960年にHamiltonが開発した評価尺度である.HAM-A評価項目には,不安に伴う精神症状や自律神経症状,不眠,認知障害,抑うつ気分などが含まれる.HAM-D評価項目には,抑うつ気分,罪業感,精神運動抑制,精神的不安,身体症状などが含まれる.MADRSは,1978年にÅsbergらによって開発された主観的精神病理症状40項目と客観的精神病理症状25項目から構成される包括的精神病理学評価尺度(Comprehensive Psychopathological Rating Scale)の65症状項目の中から,うつ状態を評価するための10項目が抽出されて作成された尺度である.精神症状を中心とした抑うつ症状と無快感症の評価を重視しているとされている.