ファルマシア
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細胞内タンパク質間相互作用を阻害する立体構造規制環状ペプチドの創製
恩田 勇一
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2017 年 53 巻 7 号 p. 719

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抄録

近年,低分子と高分子の中間に位置付けられる中分子が注目を集めており,ペプチド,核酸,糖鎖をベースとした中分子創薬が盛んに研究されている.低分子は経口投与で細胞内分子を標的にすることができる反面,タンパク質間相互作用(PPI)など相互作用面が大きい標的を捉えることは難しい.一方,高分子である抗体は,生体が持つ免疫システムを利用することでPPIの標的分子に特異的に結合できるが,経口投与が困難であり,細胞内分子を標的にできない.したがって,低分子と高分子の特徴を併せ持つ中分子を利用することで上記課題を解決し,細胞内の創薬標的にアプローチできると期待されている.本稿では,最近Fujiwaraらによって報告された,細胞内PPIの1つであるp53-HDM2相互作用を阻害する立体構造規制環状ペプチドの創製について概説する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Fujiwara D. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55, 10612–10615(2016).
2) Chène P., Nat. Rev. Cancer, 3, 102–109 (2003).
3) Suzuki N., Fujii I., Tetrahedron Lett., 40, 6013–6017(1999).

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© 2017 The Pharmaceutical Society of Japan
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