抄録
ミニ特集:後発医薬品の現状と今後のあり方
ミニ特集にあたって:厚生労働省は2017年5月23日,後発医薬品(ジェネリック)の使用割合を80%以上に引き上げる目標時期について,2020年9月に半年前倒しする方針を決めた.加えて,先発医薬品価格のうち,後発医薬品価格を超える部分については原則自己負担とすることや,後発医薬品価格まで価格を引き下げることを検討している.この方針は,結果的には今回の「経済財政運営と改革の基本方針2017」の骨太方針からは削除されたが,今後も上記のような後発医薬品の更なる普及を行い,医療費抑制を目指した方策が提案されるであろう.一方,医療関係者の間で後発医薬品の品質や情報提供,安定供給に対する不安がまだまだ払拭されていない部分がある.そのため本誌において,後発医薬品の現状や今後のあり方についてミニ特集を組むこととした.本特集が少しでも“後発医薬品の誤解”を解く一助となることを願ってやまない.
表紙の説明:丹波敬三(1854~1927)は,日本現存最古の医薬書『医心方』を著した平安時代の丹波康頼(912~995)の30代目の子孫とされる.丹波敬三は下山順一郎・丹羽藤吉郎らとともに明治11(1878)年,東京大学医学校製薬学科を第1回生として卒業した.大正6(1917)年東京薬学専門学校の初代校長に就任.号を淡斎と称し,書を善くした.表紙の書は「心廣(広)ければ體(体)胖なり.七十三叟(老翁),淡斎書」とあり,「正三位勲一等薬学博士」「丹波敬三」の印が押してある.四言句の出典は中国古典の『大学』.遺墨・胸像ともに東京薬科大学所蔵.