ファルマシア
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ネオコグニトロン
深井 朋樹
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2018 年 54 巻 9 号 p. 887_3

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抄録

ネオコグニトロンはパターン認識を行う多層神経回路モデルであり,80年代に福島邦彦により提案された.ヒントを与えたのは,一次視覚野における単純細胞と複雑細胞の発見である.単純細胞は受容野の中心付近の特定の傾きを持つ線分に強く応答し,複雑細胞は線分の位置ずれを許容する.前者の特性は視覚入力と線分情報を抽出するフィルターを介する「畳み込み(元の画像から特徴を見付けて取り出す)」で表現され,後者の応答は受容野が異なる単純細胞の出力を空間平均することで実現できる.ネオコグニトロンはS細胞層による特徴検出とC細胞層による「プーリング(元の画像に対して重要な情報は残しながら粗視化する)」を交互に行い,手書き文字の認識などに広く応用された.また誤差逆伝搬やフィードバック同調といった学習法と組み合わされ,深層学習の発展を支えた.

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© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
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