ファルマシア
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光学活性フタリジルエステルプロドラッグ合成に有用な不斉アセタール化
喜多村 徳昭
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2019 年 55 巻 11 号 p. 1073

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抄録

フタリジルエステルは,カルボキシ基を有する生理活性化合物のプロドラッグ化において有望なエステルである.しかし,従来のエステル化法では,反応で生じる不斉中心の立体制御は困難であり,現在上市されているフタリジルエステルプロドラッグは2種類の立体異性体混合物として用いられている.2つの立体異性体は生体内で必ずしも同じ薬物動態を示すとは限らないことから,医薬品開発の観点から立体化学を制御したフタリジルエステルの合成法が望まれている.
今回Chiらが,N-ヘテロ環状カルベン(NHC)触媒を用いた不斉アセタール化反応の開発により,高い立体選択性で光学活性フタリジルエステルを合成することに成功したので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Stella V. J. et al., Drugs, 29, 455-473(1985).
2) Liu Y. et al., Nat. Commun., 10, 1675(2019).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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