ファルマシア
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ヒスチジン異化はメトトレキサート感受性の主要な決定因子である
近藤 慎吾
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2019 年 55 巻 7 号 p. 702

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抄録

血液がんに対する化学療法に用いられるメトトレキサートは,ジヒドロ葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase: DHFR)を阻害して,ヌクレオチド合成に必要なテトラヒドロ葉酸(tetrahydrofolate: THF)を枯渇させ,DNAとRNAの合成を抑制することにより細胞死を誘導する.メトトレキサートの副作用症状には,嘔吐,腎障害,肝障害や間質性肺炎などがあり,重症化によって治療中断を余儀なくされることもある.本稿では,メトトレキサートの治療効果の増大につながる因子としてアミノ酸のヒスチジンが関与していることを明らかにした研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hitchings G. H. et al., Adv. Enzymol. Relat. Areas Mol Biol., 27, 417-468(1965).
2) Howard S. C. et al., Oncologist., 12, 1471-1482(2016).
3) Kanarek N. et al., Nature, 559, 632-636(2018).

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© 2019 The Pharmaceutical Society of Japan
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