ファルマシア
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低用量フェンフルラミンはドラベ症候群のてんかん発作を抑制する
高木 彰紀
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2020 年 56 巻 12 号 p. 1137

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抄録

ドラベ症候群は,約2~4万人に1人の割合で発症する難治性てんかん症候群の1つである.発症が稀であるにもかかわらず,18歳以下の患者では致死率が2割にのぼる重篤なてんかん症候群である.治療は通常の抗てんかん薬に加え,既存治療薬で効果が不十分な場合に使用可能なスチリペントールで行われる.しかしながら,スチリペントール併用療法を行っている患者の4割が週に1回以上の強直間代発作を起こすなど,奏効率は依然として低い.
フェンフルラミンは,セロトニン放出作用やセロトニン受容体作動作用を介した脳内におけるセロトニンシグナル増強作用を有し,過去に食欲抑制薬として米国で発売されていた.しかしながら60~120mgの高投与量であったことなどから1997年に肺動脈性肺高血圧症,心臓弁膜症のリスクが上昇することが報告され,市場から撤退している.
本稿では,フェンフルラミンの投与量を体重当たり1日0.4mg(1日最大17mg)の低投与量にすることで,心臓弁膜症,肺動脈性肺高血圧症の副作用発生を抑えながら,スチリペントールでコントロール不良なドラベ症候群のてんかん発作を有意に抑制した臨床試験の結果を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Schoonjans A. S. et al., Ther. Adv. Neurol. Disord., 8, 328-338(2015).
2) Nabbout R. et al., JAMA Neurol., 77, 300-308(2020).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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