ファルマシア
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脳卒中治療を可能とする炎症性物質の血液脳関門透過を抑える治療戦略
福田 光良
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2020 年 56 巻 3 号 p. 256

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抄録

ブチルフタリド(butylphthalide: NBP)は,中国セロリの種子に多く含有される化合物である.NBPには,虚血領域の脳血流改善効果,ミトコンドリア機能の保護効果,脳神経系への損傷軽減効果などがあり,中国では急性脳卒中治療薬として承認されている.急性脳卒中による脳血管障害が引き起こされると,血液脳関門(BBB)の崩壊を招き,血液中にある様々な物質の脳への透過性は亢進する.本稿では,LiらによりNBPによる脳卒中後のBBBに対する炎症性物質などの透過性を抑制させる新たな作用機構が報告されたので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Yang L. et al., Neurosci. Ther. Soc., 21, 733-741(2015).
2) Li J. et al., Neuroscience, 413, 99-107(2019).
3) Menard C. et al., Nat. Neurosci., 20, 1752-1760(2017).

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© 2020 The Pharmaceutical Society of Japan
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