2020 年 56 巻 5 号 p. 439
低分子医薬品における「フッ素原子」の導入は,生物活性向上や代謝安定性改善等を図る分子変換として極めて有用な手法の1つであり,近年では芳香環や脂肪族炭素への様々なフッ素導入法が開発されている.しかし一方で,アミド窒素に直接結合するメチル基に3つのフッ素原子を有する「N-トリフルオロメチル(以下,N-CF3)アミド」はこれまで実用的な合成法がなく,その開発が切望されていた.今回,Schoenebeckらが開発したN-CF3基を有するアミド類の実用的合成法について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Scattolin T. et al., Nature, 573, 102-107(2019).
2) Scattolin T. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 56, 221-224(2017).