2021 年 57 巻 5 号 p. 366-370
日本脳炎(日脳)は、アジア地域における最も重要なウイルス性脳炎で、日脳ワクチンは、1954年に中山株を用いたマウス脳由来不活化ワクチンとして日本で開発され、その製造技術はアジア諸国に供与された。細胞培養不活化ワクチンが2009年に製造承認され、市場に供給された。世界的には不活化ワクチンだけでなく、中国で開発された弱毒生ワクチンも使用されている。日脳患者が減少した要因は、冷房等による生活環境の変化や養豚場が居住地から離れたことも挙げられるが、ワクチン接種による予防措置の貢献は大きい。東アジア、東南アジアでは遺伝子I型が流行しているが、近年V型株がしばしば検出されている。