Two poreドメイン型カリウム(K2P)チャネルは,様々な生理学的刺激による静止膜電位形成の調節にかかわるカリウムチャネルである.K2Pチャネルファミリーの1つであるtandem pore domain weak inward rectifier K
+ channel(TWIK)関連酸感受性カリウム(TASK)チャネルは,心拍数,肺動脈緊張,睡眠/覚醒サイクル,揮発性麻酔薬への反応調節に関与している.TASKチャネルは,他のK2Pチャネルとは異なり様々な阻害剤と極めて特異的に結合し,一度結合すると容易に解離しない性質(低い洗い出し率)を有するため,魅力的な創薬ターゲットである.
現在,TASK-1阻害剤に関しては,閉塞性睡眠時無呼吸症候群と心房細動の臨床試験が行われている.しかし,このTASKファミリーに関して,薬理学的性質の基盤となるゲート開閉の詳細な機構は明らかではなかった.今回,E. CarpenterらによるTASK-1の構造と薬理学的性質に関する報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Donner B. C.
et al.,
Basic Res.
Cardiol.,
106, 75-87(2011).
2) Steinberg E.
et al.,
Pflugers Arch.,
467, 907-916(2015).
3) K. E. J.
et al.,
Nature,
582, 443-447(2020).
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