ファルマシア
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オストワルドの段階則
平山 文俊
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2021 年 57 巻 6 号 p. 525_3

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抄録

結晶多形を有する化合物が溶液から晶析する時,熱力学的安定性の低い準安定形が先に晶析し,その後安定形が出現する現象をオストワルドの段階則(Ostwald’s step rule,Ostwald’s rule of stages)といい,Whilhelm Ostwald(1909年ノーベル化学賞受賞)により提唱された理論である.結晶化の第1段階である1次核発生速度は,溶液の過飽和度と結晶核の界面エネルギーに依存するが,核発生では後者の影響が大きくなるため,高過飽和度では界面エネルギーが小さい準安定形の晶析が優勢となる.
なお,オストワルド・ライプニング(Ostwald ripening)は,同一多形でも結晶の大きさに不均一性がある場合,小さい結晶が溶解し,大きい結晶が成長する現象をいう.

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