ファルマシア
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食事由来フルクトースによるがんの免疫回避
北野 拓真
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2021 年 57 巻 6 号 p. 548

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抄録

がんは日本人の死因の第一位を占め,薬物治療の研究が今最も盛んに進められている疾患の1つである.抗PD-1抗体である免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint blockers: ICB)の開発によりがん治療に大きな変革がもたらされた一方で,これらを用いてもなお半数以上の患者では治療が十分に奏効していない.肥満は様々な疾患のリスクを上昇させることが知られており,生体防御反応に関しても易感染性やワクチン効果の低下をはじめとして免疫応答の低下を引き起こすことから,ICBの治療効果不良の原因の1つとして関与が取り沙汰されている.しかし,Body Mass Index(BMI)と治療の奏効との関連については議論が分かれており,肥満だけでなく生活習慣や飲食物による病態への関与が疑われている.
本稿では,マウスにおいて食餌由来のフルクトースによりメラノーマがICBによる治療への抵抗性を獲得することを明らかにしたKuehmらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Larkin J. et al., N. Engl. J. Med., 381, 1535-1546(2019).
2) Kanneganti T. D. et al., Nat. Immunol., 13, 707-712(2012).
3) Kuehm L. M. et al., Cancer Immunol. Res., 9, 227-238(2021).
4) Alaoui-Jamali M. A. et al., Cancer Res., 69, 8017-8024(2009).

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© 2021 The Pharmaceutical Society of Japan
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