2021 年 57 巻 8 号 p. 726-730
ジャガイモはステロイドグリコアルカロイド(SGA)と呼ばれる有毒なα-ソラニンを含有している。SGAは少量であれば不快なえぐみを示す程度だが,多量に摂取した場合は食中毒を引き起こす。トマトにも有毒なSGAであるα-トマチン が葉や花、未熟果実に蓄積しているが、赤く熟した果実には有毒SGAは蓄積しておらず、食中毒を引き起こすことはない。本稿では、SGA生合成遺伝子同定に関する最近の研究の進展を解説するとともに,それらの知見を生かした有毒SGAを生産しないジャガイモの作出について紹介する.