ファルマシア
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メドケムの腕の見せ所:スキャフォールド・ホッピングで課題解決
石畠 明裕
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2022 年 58 巻 1 号 p. 61

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抄録

低分子医薬品を創出するには薬理活性だけでなく,物性,薬物動態や安全性など様々な観点で薬として適切となるよう最適化を行う必要がある.創薬の現場では,化合物の枝葉の置換基変換だけでは求めるプロファイルの化合物の取得が困難であることがしばしば起こる.その際は,母核の大幅な変換,すなわちスキャフォールド・ホッピングによるブレークスルーが必須である.薬は鍵と鍵穴に例えられるように,薬理活性を保持したまま母核を変換するには精密な化合物設計が必要である.それまでに得た構造活性相関(SAR)情報や標的分子の立体構造情報等をもとに仮説を立てて行い,メディシナルケミストの経験と発想力が試される.今回Plasらがスキャフォールド・ホッピングにより課題を解決し,嚢胞性繊維症(CF)治療薬GLPG2451(1)を創出したので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Van der Plas, S. E. et al., J. Med. Chem., 64, 343-353(2021).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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