ファルマシア
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バリア機能に関与するZO-1は上皮損傷時の粘膜修復に重要である
上南 静佳
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2022 年 58 巻 7 号 p. 727

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抄録

上皮細胞同士の結合に関与しているタイトジャンクション(tight junction: TJ)タンパク質は,バリア機能を構成する分子として知られている.Zonula occludens-1(ZO-1)はTJタンパク質として最初に同定されたが,TJを形成しない細胞での発現も確認されており,上皮の発生や恒常性維持といったバリア機能とは異なる重要な機能を持っていることも注目されている.潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease: IBD)の患者においてZO-1の発現低下が多く見られるが,IBDの病態に対するZO-1の直接的な関与については不明な点が多い.本稿では,ZO-1のバリア機能への関与のみならず,細胞分裂期における紡錘体の配向性を制御することで粘膜修復に関与することが報告されたので紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Kuo W. T. et al., Gastroenterology, 161, 1924–1939(2021).
2) Katsuno T. et al., Mol. Biol. Cell, 19, 2465-2475(2008).
3) Kuo W. T. et al., Gastroenterology, 157, 1323-1337(2019).

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© 2022 The Pharmaceutical Society of Japan
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