抄録
COVID-19の世界的流行により,患者の医療機関へのアクセスが大幅に制限されたことは,治験実施にも大きな影響を及ぼした.2020年3月27日には医薬品医療機器総合機構(PMDA)が「新型コロナウイルス感染症の影響下での医薬品,医療機器及び再生医療等製品の治験実施に係るQ&Aについて」を通知し,治験薬の配送やオンライン診療は特例的な措置ではなく受入れ可能であることを示した.その結果,進行中の治験をいかにして継続するかだけでなく「コロナ後」を見据えた議論についても一気に加速することとなり,2023年3月30日にはオンライン技術を活用した治験データの信頼性確保等のガイダンスの第一弾として,厚生労働省が「治験及び製造販売後臨床試験における電磁的方法を用いた説明及び同意に関する留意点について」を発出した.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Naggie S. et al., JAMA, 328, 1595-1603(2022).
2) Akechi T. et al., J. Clin. Oncol., 41, 1069-1078(2023).