統合失調症の治療薬の多くは、陽性症状には効果がある一方、陰性症状や認知機能障害への効果は限定的である。血管作動性腸管ペプチド受容体2 (VIPR2)は、臨床ならびに非臨床研究から統合失調症の有望な創薬標的として考えられ、我々はこれまでにVIPR2を選択的に阻害するペプチドKS-133を見いだしてきた。本稿では、最近創製したKS-133と脳でのトランスサイトーシスによる送達が期待されるLRP1結合ペプチドKS-487を同時に搭載するナノ粒子について概説し、統合失調症の認知機能障害を回復させるための新しい皮下投与型ペプチド製剤としての可能性について紹介する。