2026 年 62 巻 1 号 p. 70
医薬品開発における構造最適化段階では,化合物の官能基をバイオアイソスターに置換する戦略が広く利用されている.例えば,ピリジンとベンゾニトリルは芳香環の分極,代謝安定性,水素結合形成能などが類似しており,互いにバイオアイソスターであることが知られている.実際に,メルク社は免疫プロテアソームβ5i阻害剤の開発において,ピリジンをベンゾニトリルに置き換えることで,阻害活性を約2倍に向上させている.このようなバイオアイソスターへの置換が容易になれば,化合物ライブラリーの拡張や構造活性相関研究の円滑な進展が期待される.本稿では,最近 Güdükらが報告した4位置換ピリジン1を2位置換ベンゾニトリル2に変換する新規方法論について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Klein M. et al., J. Med. Chem., 64, 10230-10245(2021).
2) Güdük R. et al., Nat. Synth., 4, 848-858 (2025).