ファルマシア
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バンコマイシン―テイクソバクチン結合体の設計と耐性菌に対する抗菌活性
鈴木 桃子
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2026 年 62 巻 1 号 p. 71

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抄録

バンコマイシン(1)は1958年に米国で臨床導入されて以来,重篤なグラム陽性菌感染症に対する治療の最終手段として用いられてきた.しかし近年,バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococcus: VRE)が世界各地で報告され,感染症治療上の大きな課題となっている.そのため,既存薬の再設計や新規治療戦略が強く求められている.これらの耐性菌では,バンコマイシン結合部位である細胞壁前駆体(LipidⅡ)のD-Ala-D-Ala配列がD-Ala-D-Lacに変異したことで,1との親和性が約1,000倍低下し,薬効が著しく減弱する.一方,2015年に発見されたテイクソバクチン(2)は,4残基から成るマクロラクトンと7残基のペプチドが結合した環状デプシペプチドであり,LipidⅡのピロリン酸基という変異を受けにくい部位に結合することで,耐性菌に対しても高い効果を示す.2は既存薬とは異なる作用機序を有することから,耐性回避の新たな手段として注目を集めている.耐性菌に対する新たな創薬研究が求められるなか,Padillaらは12の結合体(以下「結合体」)が耐性菌に高い抗菌活性を示すことを報告したので,本稿で紹介する.

なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

1) Stogios P. J., Savchenko A., Protein Sci., 29, 654-669(2020).

2) Ling L. et al., Nature, 517, 455-459(2015).

3) Padilla M. S. T. L., Nowick J. S., J. Am. Chem. Soc., 147, 6343-6348(2025).

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