木材を職場環境で有効に利用するため、木材が人に及ぼす影響を明らかにする意義は大きい。本研究では、事務所の内装に使われた木材によってもたらされる人への視覚的影響を主観評価に基づいて明らかにすることを目的とした。被験者に対して20枚の事務所内装写真を提示し、類似の印象を持つグループに分けさせた。その後、グループごとに、事務所内装写真から想像できる会社およびそこで働く人々の印象を答えさせた。グループ分けしたデータについて、非計量的多次元尺度構成法による解析およびクラスター解析を行った結果、木質内装と非木質内装の写真に大きく分けられた。事務所内装写真から受ける印象の内容分析から、木質の事務所内装写真は、おおむね好ましい印象を与えることがわかった。木質内装に近い位置に分けられた非木質内装写真については、被験者の印象の聞き取りの内容から、木材を含む家具、床や壁の色、室内に置かれた植物、壁に掛けられた絵画、あるいは照明の色や強さがその印象に影響を与えていることが示唆された。
