森林総合研究所の交付金プロジェクト「種子、苗木病害の診断技術および防除法の高度化」の一環として、各地で苗木病害の探索を行っており、その過程でカラマツ苗木の根腐れを確認した。本被害は全身性の萎凋症状で特徴づけられ、春から夏にかけて発生していた。分離の結果、Phytophthora cinnamomiが罹病苗の根、根圏土壌から検出された。土壌混和による接種試験により根腐れを再現できたことから、今回のカラマツの根腐れはこの樹木疫病菌により引き起こされたものと考えられた。本病害の病名として”カラマツ苗根腐疫病”を提案する。
東京都八王子市の森林総合研究所多摩森林科学園で採集されたナガハナノミ科1種、コメツキムシ科48種、ベニボタル科4種、ホタル科2種、タマキノコムシ科1種、カツオブシムシ科1種、キスイモドキ科1種、ハナノミダマシ科1種、チビキカワムシ科1種、アリモドキ科2種、クビナガムシ科1種、ゴミムシダマシ科9種、アトコブゴミムシダマシ科1種、ミジンムシダマシ科1種、オオキノコムシ科19種、ケシキスイ科10種、キスイムシ科3種、ヒメハナムシ科1種およびハムシ科105種、合計19科212種の甲虫を記録した。東京都の準絶滅危惧種1種および侵入昆虫1種が含まれていた。
東カリマンタン州ブキットスハルトの雨林は20世紀の最後の四半期に3回火事に遭った。繰り返される火事が熱帯雨林に及ぼす影響を評価するため、1982~1983年の火事後に成立したMacaranga二次林における1998年3月の火災事象後の植生遷移を調べた。Macarangaは火事後に発芽して初期は調査プロットの41%を優占したが、2024年には4.8%に減少し、Macaranga以外の一次林樹種が55%、耐火性樹種が40%のプロットで優占した。今後火事がなければ前者主体の正常遷移が進み、短期間で火事が繰り返されると後者主体の火事極相へ向かう偏向遷移が進む可能性がある。今後の植生遷移は火災レジーム次第である。
森林総合研究所林木育種センターでは、全国を5つの育種基本区に分割して遺伝資源の探索・収集を行っている。探索・収集業務の支援のため、オフラインで現在地とともに国土地理院の2万5千分の1地形図と国有林の林班界や林道などの補助情報を表示し、情報入力フォームを備えたツールを作成した。各育種基本区のすべての範囲の地形図と補助情報をモバイル端末一台に格納するため解像度を保持したまま適切な減色処理により地形図のサイズを縮小させ、同時にズームレベルに応じて最適化された補助情報を統合したマップタイル形式のファイルセットを構築した。このツールにより、業務効率化や、情報の共有の簡素化に寄与することが期待される。
ArborSonic3Dを用いた腐朽診断により事前に異常所見が認められた6本のソメイヨシノについて、伐倒を行うとともに伐根木口面を観察した。木口面の写真撮影を行い、写真画像から腐朽率、または腐朽に伴う空洞率を算出することで、ArborSonic3Dによる診断の精度を検証した。観察の結果、すべての供試個体で心材内に腐朽または腐朽の進展に伴う空洞が認められ、ArborSonic3Dの診断では全ての個体の内部異常を検出することができていた。一方で、腐朽空洞率は、個体によっては実空洞率から大きく乖離した値となっていた。また、空洞化が進んだ2本を除く4本の伐根腐朽部から、樹木に深刻な腐朽被害を起こすことが知られるベッコウタケおよびコフキタケが分離され、これらの菌類によって心材腐朽が引き起こされたと考えられた。
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