Functional Food Research
Online ISSN : 2434-3048
Print ISSN : 2432-3357
酵母SM-10 含有食品の膝関節痛を有する被験者の関節機能に対する効果
長岡  功 朝長 昭仁深川 光彦三井 幸雄佐藤 麻紀藤田 さゆり
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2018 年 14 巻 p. 48-56

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抄録

 本研究では,膝関節の動きが気になる(膝関節痛を有する)中高齢の健常人を対象として,S-アデノシルメチオニンを含有する酵母(酵母SM-10)配合サプリメントを12週間連続摂取させ,関節機能の改善効果をロコモ度テスト(ロコモ25,立ち上がりテスト,2ステップテスト),JOAスコア(日本整形外科学会膝OA治療成績判定基準)などを指標として検討した.
 その結果,膝関節痛を有する57名の健常者を評価した場合,いずれの評価項目においても対照食品群(n=29)と被検食品群(酵母SM-10を600 mg含有;n=28)の間で有意な差は認められなかった.しかし,これらの対象者の中で,JHEQ(日本整形外科学会股関節疾患評価質問票)およびJLEQ(腰痛症患者機能評価質問表)のVAS(visual analog scale)の値が,被検食品群に比べて対照食品群において約1.8倍高く,対照食品群に股関節と腰の痛みを有する被験者が多いことがわかった.そこで,股関節と腰の痛みがいずれも弱い被験者(JHEQおよびJLEQのVAS 10 mm未満)を対象とし,被験者背景を揃えて追加解析を行った.その結果,2ステップテストの12週目の変化量において,被検食品群(n=15)のほうが対照食品群(n=8)に比べて有意に増加量が大きく,歩行能力の改善が認められた(P<0.05).さらに,JOAによる評価では,12週目における対照食品群に対する被験食品群の変化量が,「疼痛・歩行能」,「疼痛・階段昇降能」,「合計」スコアにおいて,プラセボ群に比べてSM-10群において増加(改善)する傾向が見られた.
 以上の結果から,酵母SM-10含有食品の継続摂取は,膝関痛を有する被験者の中でも股関節と腰の痛みがいずれも弱い健常者に対して,膝関節に関連する歩行能力,QOLの改善に役立つ可能性が示唆された.

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© 2018 ファンクショナルフード学会
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