抄録
近年,日本国内の温州みかん消費量の減少により,みかん農家の収入が減少している.本研究は,みかん農家の新たな収入源確保のために,現在は未利用な未熟みかんの利用を促進するエビデンス取得を目的として,未熟みかん凍結乾燥粉末(Immature Citrus unshiu Powder: ICP)の経口摂取による光老化皮膚の改善効果について検討を行った.6週齢のHos:HR-1雄性ヘアレスマウスにICPを200mg/kg Body weightの投与量で毎日経口投与した.ICP投与と同時に,週3回紫外線を強度を徐々に高めながらヘアレスマウスに反復照射することで,光老化モデルマウスを作製した.皮膚水分量,経表皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss: TEWL)を週2回測定した.7週間の飼育後,背部写真を用いてシワの強度を測定した.また,解剖時に採取した背部皮膚より組織切片を作製し,表皮の細胞の増殖および肥厚の変化を観察した.さらに,皮膚中のヒアルロン酸(Hyaluronan: HA)をHA-ELISAにより解析した.ICP投与により,皮膚水分量,TEWL,シワ形成度,表皮の細胞の異常増殖,表皮の肥厚化の改善が確認できた.以上より,ICP経口摂取により皮膚のバリア機能を正常化することが示唆された.