Functional Food Research
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Print ISSN : 2432-3357
総説
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としての機能性食品成分の有用性に関する臨床エビデンス:アップデート2021
蒲原 聖可
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 17 巻 p. 75-104

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抄録

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック(世界的大流行)となり,ヘルスケアシステムに大きな影響を与えている.すでに感染が世界規模で拡大したこと,不顕性感染となることなど,ウイルスの性質を考えると,SARS-CoV-2 の根絶や封じ込めは困難である.

COVID-19 対策として,ウイルスへの暴露機会を減らす予防策(マスク着用や手指消毒,三密回避など)が実践されており,ワクチン接種も開始された.一方,ヒトの側でのウイルス感染への抵抗性を高める対策も重要である.つまり,免疫能を含めた生体防御機構の維持・亢進による感染防御策,および抗炎症や抗凝固といった作用による軽症者の重症化予防である.具体的には,適切な食事あるいはサプリメントの適正使用により,ビタミンやミネラル,その他の機能性食品成分を摂取することがCOVID-19 対策のもう一つの柱となる.

機能性食品成分には,抗ウイルス作用や免疫賦活作用,抗炎症作用などを有する成分が知られている.これらの成分では,観察研究や介入試験により,ウイルス性呼吸器感染症の予防や重症度軽減作用が報告されてきた.また,一部の機能性食品成分では,COVID-19 の罹患リスクや重症化との相関が見い出された.

ワクチン接種による集団免疫獲得などにより,COVID-19 のパンデミックは収束に向かうと期待される.一方,COVID-19 変異株への懸念や,新興感染症の周期的・局地的な流行は,今後も継続すると考えられる.したがって,新興感染症対策としてセルフケアおよび補完療法での機能性食品成分の利活用が重要である.

本稿では,COVID-19 対策に関する機能性食品成分のエビデンスを概説した.

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© 2021 ファンクショナルフード学会
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