抄録
20世紀から続く現在の化学産業では,酸・アルカリおよび有機溶媒を利用して,様々な化学物質の分離精製や材料への変換が行われている.化石資源が大量かつ安価に手に入る現在では成り立つ仕組みであるが,将来,化石資源が現在のように手に入らなくなった際には,酸・アルカリや有機溶媒の利用コストの高騰も予想される.化石資源が現在ほど自由に使えない時代に備えて,持続可能な化学産業の仕組みへの移行が求められると考えている.その答えの1つとして,化学反応場としての「水」の利用があると考えている.水は温度や圧力を制御することで,溶媒物性(pHや誘電率)のコントロールが可能である.本総説では,温度や圧力を制御した高温高圧水を用いたキチンの分離精製や材料化の技術を紹介する.従来の化学産業で多用されてきた酸・アルカリや有機溶媒を使わない,水だけを用いたキチンやN-アセチルグルコサミンの活用技術を提案する.