森林遺伝育種
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総説
コナラ属樹種における種子の長期保存に関する問題点
木村 恵山田 浩雄生方 正俊
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2015 年 4 巻 3 号 p. 105-114

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抄録

植物遺伝資源の長期的な維持・管理方法として、生殖質の生息域外保存は有効な方法のひとつである。遺伝資源を効率的に確保する上で、種子の保存は利点の多い手段であるが、乾燥耐性がほとんどない難貯蔵種子も数多く存在する。本総説ではコナラ亜属を例に、難貯蔵種子の取り扱いに関する問題点を生理的要因と生物的要因の面からまとめた。コナラ亜属においては種子が生理的な活性を保てる温度と湿度において、いかに生物学的な害(虫害、菌害)を取り除くかが重要であると考えられた。また、生理的な休眠機構を活用するには、種子の採取時期やコーティングなどの技術を検討する必要性が示唆された。今後は低温耐性や保存条件を調べることで、海外樹種で成功している−2℃程度の低温保存の検討が望まれるであろう。

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© 2015 森林遺伝育種学会

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