抄録
蓄熱槽断熱防水工法の内、塩化ビニル樹脂シートを用いた機械的固定工法で約18年前に施工した高深度型蓄熱槽の経年調査を行った。この結果、サンプリングしたシートの引張·伸び性能は、物性測定結果から未だにJISで規定する範囲内を示していることが判った。また、断熱材は部分的に変形していたものの、シートがその変形状態に追従することで防水層の損傷を免れた箇所が多く見られた。このことから、防水層が確実に形成された蓄熱槽断熱防水の長期的維持を考える場合には、断熱材の選定と防水材の伸び性能がポイントになると考える。今後は、蓄熱槽の経年調査に対し、積極的なデータの蓄積と使用材料を評価する試験の有効性を確認することが課題になると言える。