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実際の耐火建築物の主要構造部に耐火構造として用いるためには、ISO 834に準拠した実大規模の耐火性能試験による性能確認が必要となる。本報では、柱部材、梁部材についての結果を報告する。実大規模の載荷加熱試験により、木質ハイブリッド構造の柱部材に対して1時間、及び2時間の梁部材の耐火構造仕様を明らかにすることができた。実際の建物に用いる場合は、指定性能評価機関における試験、評価を経て大臣認定を取得する必要がある。建築基準法の性能規定化により、性能を有すれば木質系耐火構造が可能となる例を示した。ここでの方法はいわゆる仕様ルート(ルートA)と称されているものである。今後は性能ルート(ルートB、ルートC)における木質系構造への適用、大臣認定に係わる試験、評価業務方法書に規定する試験方法、評価方法のさらなる検討によって、より適用範囲が拡大するものと考えられる。また、将来の法改正も勘案した水系防火設備の検討も実施すべきであろう。