抄録
著者らは福井県の川西地区にゼオライトを含む凝灰岩が産出することに注目し、調湿材料への展開について検討を行ってきた。ゼオライトは元来、その特異な結晶構造に起因するイオン交換能・吸着能・分子ふるい能・触媒能で知られており、建材としては吸湿材として多く利用されている。この凝灰岩を微粉砕しポゾランとして活用することによりC-S-Hが合成され、その吸放湿特性は出発原料の凝灰岩と大きく異なるものとなる。すなわち、ゼオライトはIUPACの?T型であるのに対してC-S-Hは?W型の吸放湿特性を示し、最大吸湿量も凝灰岩に比べ高い値を示すことを確認した。本報では、合成したC-S-Hを調湿材として利用した塗材の吸放湿性能について報告する。