抄録
本報告は,調湿建材の吸放湿性能と室内の湿度調整の関係を検討したものである。実際の室内に施工された調湿建材の吸放湿性能を表す物性として吸放湿係数αなるものを考える。このαを用い,ある面積の調湿建材を施工した室内に,室外からある湿度をもつ空気が流入する場合の室内湿度の推算式を求めた。この式を解くと定常状態におけるαは,換気回数nと試料負荷率Lとの比に比例するという関係になる。このため,実験によりn&fraslLを変化させてαを算出するとほぼ直線関係になることが分かった。負荷率Lとαとの関係では,負荷率が大きくなるとαは指数的に小さくなる。つまり,施工面積を増やしてもある程度以上では効果はあまり変わらないということを意味しているという結果になった。この評価方法は,n&fraslLを同じにすれば,実際の室における湿度調整の評価ができるものである。