抄録
村野藤吾は1929年に自身の建築事務所をたちあげてからおよそ300の建築設計を手がけた、日本を代表する建築家である。村野の建築は細部へのこだわりや独特なデザインについて語られることが多いが、その独自性の多くは、事務所開設前後の欧米への建築視察や渡辺節建築事務所での経験に由来することを明らかにした。また、村野の代表作の多くは外装にタイルや煉瓦が使用されていることに注目し、村野が建築事務所を立ち上げてから手がけた全ての建築作品のうち、外装にタイルが用いられているものについて、それぞれのタイルの種類や張り方にどのような特徴が見られるかを調べ、和歌における「本歌と本歌取りの関係」から、村野建築の独自性を説明した。