抄録
本報の目的は、伝統工法による版築壁の圧縮強度および形状変化に及ぼす調合および施工要因の影響を明らかにすることを目的とした。その結果、以下の結論が得られた。圧縮強度が最大になる構成割合は,荒木田土,細骨材および消石灰の質量比が1:0.5:0.15であり,体積変化率を考慮するとMgCl2水溶液の濃度が15%である。圧縮強度が最大となる施工要因は,ランマーの落下高さ30cm,締固め回数25回,脱型材齢7日および気中養生である。締固めエネルギーに伴う圧縮強度は,概ね200×103~300×103J/cm3の間で最大となり,それ以降は減少する。養生方法に伴う圧縮強度は,いずれの養生方法とも材齢の経過に伴い増加するが,封かん養生より気中養生の方が大きくなる。