抄録
日本で指定されている建物構造物の重要文化財の内れんが造の割合が最も多く66%で75件である。これらのれんが造建物は1950年に制定された「文化財保護法」や「重要文化財(建造物)の活用について」、等から建物の維持・保全が求められている。しかし、れんが単体の強度特性評価方法については、圧縮試験による評価があるが、れんが目地の試験方法が統一されていないのが現状である。そこで、実際の建物に用いられた実際の調合を参考に試験体を作成し、物性調査を行った。その結果、セメント系とセメント石灰系を比較するとセメント系のほうが凍結融解および乾湿繰り返しに対する抵抗性が高いことが確認された。また、凍結融解・乾湿繰り返し試験いずれもサイクルが進むにつれ質量が減少することが確認された。