抄録
木造建造物には定期的な補修などにより健全性を維持することが求められる。ヴェネチア憲章により最小限の介入,現存する材料の尊重などが理想とされるが、木材の性能を非/微破壊的に推定する技術が日本ではまだなく、それらの確立が急務であると言える。本研究では、非/微破壊検査による重要文化財の圧縮強度推定を行い、木部材の健全性の評価を行うことを目的としている。それに先立ち実建築における非/微破壊検査と圧縮強度の関係を明らかにすべく木造古民家の非/微破壊調査および調査部材の材料試験を行い、非破壊検査による圧縮強度の推定式を提案した。複数の非破壊検査機器を併用することで、ある程度精度の良い強度推定が可能であることが示唆された。また、重要文化財(岐阜公園三重塔)における残存強度推定を行った結果、側柱についてはおよそ15MPa,四天柱についてはおよそ25MPa,心柱についてはおよそ20MPaほどの圧縮強度が推定される結果となった。