抄録
暴露環境と冬季施工が水系さび止め塗料の硬化塗膜に与える影響ついて評価した本報の内容は、以下のとおりである。(1)一般部に対する防錆効果は、水系さび止め塗料と油性系さび止め塗料で同等の性能を有する。しかし、塗膜厚が薄くなりやすく、表面に付着した水分が滞留し易い端部や取付け孔周囲では、水系さび止め塗料を用いた場合に発錆しやすい傾向が見られる。(2)水系さび止め塗料の塗膜形成に不適である低温で高湿の環境における塗装は、本来の防錆効果を発揮できない可能性があるため、施工計画上の配慮が必要である。(3)水系さび止め塗膜と油性系さび止め塗膜は、沿岸部において12か月間の屋外暴露をしても、塗膜中への塩分侵入は認められず、さび止め塗膜による塩化物に対する遮蔽効果は優れていると判断される。(4)水系さび止め塗料は、正常に成膜することで油性系さび止め塗料と同等の性能を有する。ただし、特定の施工環境では、油性系さび止め塗料よりも防錆効果は劣る場合がある。したがって、施工計画においては、適切な施工条件の確保や施工管理に対する配慮が重要である。