国内の住宅等に供用を想定した森林資源は、その多くが木材としての利用適齢期を迎えている。そのため、耐火木造などの開発に加え、持続可能な形で木材資源を積極利用し、循環型社会を形成する機運が高まっている。しかし、木材は水酸基を有する化学組成に起因した腐朽、蟻害など様々な不具合要因を持つ材料であり、その事例である鉄汚染は、木材と鉄、水の3つの共存により容易に生じる現象にも関わらず、建築木質材の鉄汚染に関する研究は未だ少ないのが現状である。本研究では木材と鉄の化学的性質から両者の共存により引き起こされる不具合を、水の含有状態による木材のpH変化が影響するか、鉄や防食処理を施された釘との接触状態の違いにより外観影響に変化が生じるかを実験的に検討する。また、この結果を踏まえ、既存の材料・工法が与える機能を利用してこれらの外観影響への対策が可能かを検討する。