抄録
森林経営管理法と全国版「森林環境税」による「新たな森林管理システム」は、現場のニーズとは裏腹に、政権にとっては産業政策・近代化政策という意味をもち、土地所有とくに小規模森林所有者の所有権そのものを「改革」する意図が背景にあると考えられる。集約化されていない入会林野は、この政策のターゲットとなりうるが、同時期に進行する漁業権「改革」から類推すれば、その際に入会権が近代的権利として尊重されないのではないかという危惧がある。また、森林管理に関する地域社会との合意形成との点でも問題がある。森林を、所有者・利用権者と地域住民の意思のもとに管理していくために、入会林野・生産森林組合の経験と森林組合の存在が改めて重要な意味をもってきているのが現段階である。