入会林野研究
Online ISSN : 2434-3927
Print ISSN : 2186-036X
2005年・2010年農林業センサスによる生産森林組合の分析
保有山林面積別動向を中心に
松下 幸司 高橋 卓也吉田 嘉雄仙田 徹志
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2019 年 39 巻 p. 60-70

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抄録

2005年以降の農林業センサス(以下、センサス)では、法人化区分「森林組合」に、森林組合と生産森林組合の両方が入っている。「森林組合」に含まれる林業経営体で一定条件を満たすものを抽出し、生産森林組合の可能性が高い林業経営体(以下、「生産森林組合」)と見なした。「生産森林組合」に関する分析結果は以下の通りである。2005年センサスと2010年センサスの「生産森林組合」の数は1,310組合、1,470組合で、「森林組合」の総数のそれぞれ56%、65%であった。林業経営体として調査対象となった「生産森林組合」の数は、生産森林組合の設立数のそれぞれ43%、48%であった。保有山林面積別に育林・伐採の実施動向をみたところ、2005年から2010年にかけて、育林のみ、伐採のみを実施した組合が増え、両方を実施した組合は減少した。特に保有山林面積が大きな組合で伐採が増加した。保有山林面積別に林産物販売動向を検討したところ、何らかの林産物を販売した組合が同期間に約8割増加した。特に保有山林面積の大きな組合で木材(立木または素材)の販売が増加した。一定条件を満たす林業経営体を抽出することで、センサスを用いた生産森林組合の経営分析の可能性を示すことが出来た。

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© 2019 本論文著者
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